彩光夢

夢をみた
誰もいないはずの町へ
パジャマのまま出ていく夢
多分動物と称されるような
寂しいものはいなかった
自分の住む町なのに
妙に古くさく感じる
わたしは見知らぬ町の見物客
ゆっくりと目に色を焼きつける
街灯が辺りを青白く染めていた
そこで女の子に会った
女の子はとても大きかった
わたしはひどく恐れたが
同時にひどくひきつけられた
女の子はあまりにうつくしかった
女の子の引力で
耐えきれなくなった空が
落ちてくる心地がした
わたしはキスをした
やわらかくてかたい
均一なシャーベットのような味のキス
離別を予期する悲しみが押し寄せる
わたしはリビングで目覚めた
テレビの電源は切られ
長い間危うい引力を保っていた
テレビが放っている
振れ幅の大きく狭い重高低音は
空気を伝って肺に入り込み
綺麗な赤の道をたどって
わたしの内側に鮮やかなキスをした